『善き人のためのソナタ』
素晴らしかった....

芸術によって人間の心が取り戻される、
厳しい状況下で芸術が人の心のよすがになる、
...というテーマは、私がとても尊敬している作家レーヴィが
繰り返し書いた事でもあります。

大学で講義される(!)尋問の仕方、職業禁止、盗聴、家宅捜索、手紙の検閲......
旧東ドイツがどうやって国民を管理統制していたか具体的に描いてあって怖かったです。
反体制的な人間を捕まえて尋問する保安員、
自分を守るために密告する人、
脅迫されて沈黙する人....

非道に見えても皆それぞれの立場での板挟み状態。
その中で、どこまで人間としての良心に従うことができるか。
人間の極限状態での選択を描いた映画は「自分だったらどうするだろう」という問いにさらされるから辛いけれど、惹かれます。

「壁が崩れた」の台詞で  ぶわっ
....となりました。ラストよりも。

アカデミー賞外国語映画賞受賞作品。原題も英題も『他人の生活』という意味らしいけどこの邦題は雰囲気に合ってて良かったんじゃないかなー