yukiusagi
2歳半の時。
私は山口県のある村の、国道沿いの山の中の古い家に住んでいました。引っ越しで環境が変わったために全てが新鮮だったのか、ここで過ごした一年半のことはいろいろと強烈に憶えています。

その冬は雪が深く、1mくらい庭に積もっていたような気がします。
兄と一緒に、雪の中に後ろ向きでわざと倒れて、人の形を残す遊びをしました。
母が薄い板の上に雪を楕円形に固め、庭にあった南天の実と葉っぱを取り、そのかたまりにくっつけると.....「すごーい!うさぎさんになった (*゚o゚*)!!」

これが、憶えている限り一番古い、私の「感動」の記憶のような気がします。
「赤い目を南天で作る....。なんてぴったりで、可愛くて....。こんなやり方を知ってるお母さんは、すごいなー!」という感動だったのですが、もちろん当時はそんな風に言葉にはなりませんでした。

言葉といえばこの頃、「言いたい気持ちがあるのに、言葉がわからない」というもどかしさを強く感じていたことも思い出します。もどかしくて、歯がゆくて、家族に「ばかー!!」と叫んだような気がします。記憶の背景はその家のかまど付きの古い台所で、目の前にはホットカルピスのグラスがありました。たぶんそれも冬のことだったのでしょう。

春が来ると、私たち一家はある小さな島に引っ越しました。
あけっぴろげでワイルドな子どもたちに囲まれ、新しい言葉も憶えなければならず、毎日が緊張の連続だったためか、そこで私は(まだ煩わしい人間関係のなかった)山の生活を懐かしみました。
「栗を拾いたい。雪で遊びたい。塩水より真水に触りたい....」

島では雪はほとんど降らず、たまに降ったとしても、雪だるまは土色の汚いものしかできませんでした。
「雪が降り始めた! どうか積もって!」
毎度そう祈っては、がっかりの繰り返しでした。

だから八ヶ岳に越した今でも、
例え「積もったら道路が危なくて嫌だなー」と思いながらもどこか、「どっさり積もればいいのに!」とワクワクしている自分がいます。

周りの移住組友だちにも、雪が大好きな人達が多いです。「雪かきが大変!」なんて言ってても、けっこうみんな楽しんでるの(^ ^)